前回は2020年4月の緊急事態宣言を受け「わたしたちがお店として出来ることは何か?」という問いに、答えを出すまでのお話をさせていただきました。

今日は紆余曲折あった商品開発の模様についてお話します。
目指すべきもの
委託先も決まり、開発に向けて使える食材やスパイス、カレー作りに必須となる製造工程の再現性について確認すると
早速第一の関門が訪れます。
- etocatoカレーに使用している原形のスパイスの多くは使用できないこと
- 店舗と同じ工程での量産はできないこと
etocatoカレーの再現を目指していた当時の私たちには厳しい現実でした。
食感や香ばしさを出す為材料や作業を削らなくてはいけない。
ひと言で言うと、こうでした。
etocatoカレーは再現できない
それでetocatoカレーを楽しみにしてくださっていたお客さまに喜んでいただけるものになるのだろうか。
そんな不安に駆られる中、わたしたちの考えに抜け落ちていたあることが発覚します。
お店で使用しているインド米、ご自宅で食べられることはそうあることではないのでは?
etocatoカレーはインドの香り米バスマティライスと日本米あきたこまちをブレンドして使用しています。
バスマティライスは日本米にはない香ばしい風味、軽い食感が持ち味です。
実は、etocatoカレーを100%日本米で食べると味わいが変わります。
少し重たくなり、あの軽やかなスパイスカレーとは印象が違ってくるのです。
お米が違えば、当然お店の味わいとは違うものになる。
etocatoカレーの再現は難しい以前に、目指すべきではなかったのだと気付きました。
その結果、開発コンセプトを変更。
etocatoカレーをベースに日本米で食べる、etocatoらしいスパイスの薫りを大切にしたカレーに照準を合わせました。
お店のような味を、ご自宅で
配合や時間や重量単位での作成工程などを含むレシピや、完成品のカレー、作成過程の食材を提供し、わたしたちの望むカレーを再現してもらう作業が始まりました。
通常2週間程度で試作の第一弾が出来るそうでしたが、わたしたちの手元に試作第一弾が届いたのは2か月が経過した頃でした。
なかなか難しいカレーのようです。
期待に胸を膨らませながらの試食。
プロの仕事で作られた美味しいカレーでした。
ですが、わたしたちの想像していたものとは違うものでした。
etocatoらしさがない
お店の名前を付けて販売するためには
- 油の浮き
- スパイス感のバランス
- スパイスの薫り立ち
- 味わい
様々な変更が必要でした。
わたしたちが思い描く完成形のイメージに近づける為の相談、レシピの修正、試作依頼を繰り返しました。
通常3回程度で製品化へと進むようですが、試作していただいた回数はなんと8回にも及びました。
旨味、コクが強すぎる
生姜の薫りを気持ち強く出したい
そんな細かな要望をお伝えし、製品化すなわち量産を見越したレシピへの修正をしていただきました。
委託先のご協力のおかげで、自信をもって世に送り出せる、とても美味しい納得のいくごちそうカレーが完成しました。
パッケージでも楽しんで欲しいから
試作の傍らで考えていたのはパッケージです。
レトルトカレーは大体箱入り。
箱の中に白やシルバーのレトルトパウチが入っていることが多いかと思います。
箱入りにするとどうしてもかさばってしまうこともあり、ストックする場所が少ないわたしたちは
パッケージを箱入り以外で出来ないものかと考えていました。
そこで考えたのが掛け紙。
レトルトパウチに熨斗紙のような紙を巻き付けることを思いつきました。
しばらくはこの案で話を進めていましたが、ここでふと思いました。
掛け紙を巻く作業が手作業になってしまう以上、なんとなく安っぽくなってしまうのではないか。
もっと満足してもらえるものはないか?
そこで辿り着いたのがオリジナルパッケージの作成でした。
レトルト加工に対応しているパッケージをオリジナルデザインで。
パッケージでもetocatoを楽しんでもらいたいという思い、商品のウリであるスパイスの薫る様を落とし込んで完成したのがこちらのパッケージ。

足掛け約8ヶ月、紆余曲折を経てKofukuチキンカレーが完成しました。
中編はここまで。
完成したKofukuチキンカレーの特徴などは、また次回お話します。

本投稿はサイトリニューアルに伴い、2025年に再編集した記事です。